やまうちあつし詩集『Tis is a pen』
やまうちさんが書く詩は、詩集『This is a pen』の表紙に描かれた絵の印象からも、この世のものとは思えない寓話の世界を彷彿させます。それは、この詩集に限ったことではなく前の詩集にも当てはまります。
いざ、詩集のページを捲り、読み始めると最初に次のような言葉に出会います。
わたしのむねのゆうやけを
そして最初の詩「哺乳類の絶滅」が始まります。
悲しみをとぼとぼ辿っていくと、駅のホームに辿り着いていた。なん
だ、もう一度出発なんだ。そう気付いた時には、もう旅人の顔をして
いる。ホームには、自分以外の人影は見えない。柱に繋がれた雑種犬
と、自愛に余念がない天使。
詩「哺乳類の絶滅」最初の4
ああ、これはまさに寓話の世界だと改めて思うのですが、しかし、それが何を喩えているのか、そこに見えている水面の波の表情を作っているであろう深海での出来事に思い巡らすことはどこか無駄なような気がしてしまうのです。それはいつものことで、私はついぞやまうち氏の言葉をわかったためしがありません。この場合、「わかった」に正解がないはずだから、私の理解は独りよがりな勝手な思い込みでもよいのですが、それすらありません。大分前に詩集『my songs』の感想を書いたときも、読み返してみると何も分からないということを白状しているような文章で、今、最新詩集『This is a pen』の感想を書くに当た…