小関俊夫詩集『もったいない農婦』
小関俊夫詩集『もったいない農婦』(2023年、無明舎出版)について
わたしが出した復刻版尾形亀之助『障子のある家』を買い求めいただき、その後わたしの自宅に届いた手紙に同封されていた詩集です。手紙には、7冊目の詩集であること、原発事故から世に物言いをたくて詩を書き始めたこと、農民であること、農民作家故山下惣一さんをつがなければと思っていることが、簡潔に記されていました。
冒頭の詩「青虫」の一部を引用します。
青虫
キャベツブロッコリーの
葉の裏に
青虫がいっぱい
女房がボールいっぱい
とってきて
ニワトリにやる前に
得意げに見せる
生きる女が
立っている
詩「青虫」最初の一連
最初に『もったいない農婦』に収められている詩の言葉に目を落としたとき、わたしが感じたことは〈ぶっきらぼう〉な言葉だなというものでした。正直に申せば、とっつきにくかった詩の言葉でした。それはどうしてかわかりませんが、たぶん小関さんの普段の言葉がそのまま詩の言葉になっているのだろうなと想像しました。飾らない、説明をしようとしない。そして、わかりやすくしようとしない。つまり、作為的ではないのです。しばらくたって、次第々々に小関さんの詩の言葉を繰り返しかみしめていると、そこに人間の言葉が、人間が発する言葉が、人間そのものが見えてくるような気がしてきました。語る言葉…